期間限定!!木皿泉著・小説「ハル」冒頭おためし公開中★

参加者:
・木皿 泉
・牧原亮太郎 『ハル』監督
・池田真理子 集英社別冊マーガレット編集部 『ハル』キャラクター原案 咲坂伊緒編集担当
・中武哲也 『ハル』アニメーションプロデューサー
・和田丈嗣 『ハル』プロデューサー

企画のはじまり

和 田
自分は、アニメファンにも普段アニメを見ない人にも見てもらえる青春モノの映画を作りたいと、ずっと思っていました。当時、『Q10』というテレビドラマの一話を見て衝撃を受けまして。そこで、中武にすぐに『Q10』を見てもらったところ、この脚本を書いた木皿泉さんという人とアニメーションを作ったらきっと面白い! と意気投合。それで、手紙を送らせていただきました。
木 皿
普通のA4 用紙に毛筆で。「何卒」という言葉が多かったですね。なんで、毛筆なのか、その発想が分からなくて( 笑 )。大体、普通仕事の依頼はメールで、お会いしたいという内容で来るのですが。本当に道場破りみたいな感じだと思いました。
和 田
当時、オトメコンティニューという雑誌で、「Q10特集」をしていて、その編集をされている両角さんに、木皿さんへの打診を相談させていただきました。そして、その両角さんと池田さんが知り合いだったという事もあり、本当に企画が、まだ漠然としている頃から、池田さんには僕の妄想に付き合っていただきました。
池 田
( 笑 )。
中 武
木皿さんが和田と直接会ったのは何年ぐらい前ですか?
木 皿
『Q10』が終わってすぐぐらいですね。私の記憶が正しければ、2011 年の3月13日で。震災のすぐ後でした。東京で会った人は「これから何をしたらいいんだろう?」とみんな暗くなっていた時に、和田さんだけ明るくて。非常識という意味では無く、頼もしいという気がしました。すこんと抜けているというか。
和 田
お会いしたのが、東京駅のイノダコーヒーで。
木 皿
私が指定したんですね。会ってみて、普通の青年じゃんと。
牧 原
物語の舞台は、なんで京都だったんですか?
木 皿
『すいか』という脚本を担当したドラマがありまして。最初に企画書に書いたのが、京都を舞台にしたゲストハウスだった。だけど、実写だと役者さんもスタッフさんもみんな京都に来てもらわないといけなくなるじゃないですか。それで、無理だっていう話になって、結局舞台を三軒茶屋に変えました。そういった経緯があって、いつか京都でやってみたい感じがずっとあったんです。
中 武
牧原さんに京都についてお聞きした時には、「古都の変わらない美しさに、新しいモノが加わっていて、単体で国と言えると思う。これは、描くに値する舞台だ」とおっしゃってましたよね。
牧 原
本当は、特別な場所にしたくなかったんです。普遍的な場所に、主人公たちがいるという風にしたかったんですけど、ビジュアルで魅せるという事で言うと、良い場所ですね。川が流れていて、歴史ある建造物があって、今も暮らしている人がいる。日本の方であれば、どんな場所であるか言わずとも分かる。これは、まず強みかなと感じていました。
木 皿
京都は、他人を入れない排他的で封建的なイメージがあるけど、本当は地方から来る学生がいたり、観光客がいたり、自分を守りながら外に開いている土地という、変わった感じではありますよね。
牧 原
京都について調べていて分かったんですけど、山鉾の曳き手さんに、外国の方が参加されるようになってきているらしいんです。実際に、祇園祭を見に来られる方、住んでいる外国の方も多い。今回の映画は、そういうところを描写することによって、排他的なイメージを払拭したいなと思っていました。
木 皿
変わるところと変わらないところがあって、すごく場所としてはいいですね。そして、京都ガイドのようになっていなくて。そこに住んでいる人の絵になっているのもまた良かったです。

咲坂先生にキャラクター原案を依頼した理由

和 田
今回のキャラクターデザインは、アニメーションなので、10代の子に見てもらいたいということを木皿さんとずっと話していました。具体的にお話の案が固まってきて、10代の子に向けたキャラクター原案は誰が良いかと相談して、咲坂先生についてご推薦いただきました。
池 田
木皿さんの世界は可愛くて暖かいけど、すごく寂しい部分がある。私は、そこがすごく好きなんです。咲坂先生の描く絵も、可愛らしく生き生きした魅力がありますが、切なさや孤独の表現も素晴らしいです。話を聞いた時に共通するかも? とピンと来るものがありまして、和田さんに聞かれてすぐに、咲坂先生を推薦しました。
牧 原
咲坂先生の絵は良かったです。一回目の絵が上がってきたところから、ぴったりだなと。すごく生々しいんですよね。可愛いし、かっこいいですけど、人間っぽいんですよ。
木 皿
本当にリアルなところもあって、更にかっこいいんですよね。
牧 原
木皿さんのドラマは、すごくかっこいい役者さんが演じられているじゃないですか。それに負けないくらいのスター性のあるオーラを纏った人物達、キャラクター達だと思いました。木皿作品の系譜にしっかりとのっかれると思いました。
木 皿
確かに、ハルをどう描くのか? というと難しすぎますよね。ロボットだし。色々難しい要素がいっぱいある。
牧 原
そこは、咲坂先生の絵がまずあって。その絵に助けられて、絵コンテを描きました。
木 皿
それは、すごく分かりますね。絵を見るまでは、もっとアニメをやんなきゃいけない、アニメの脚本を描かなければいけないと思っていました。なので、中々見えてこなくて、空虚な感じだったんです。咲坂先生の絵や、牧原監督の絵を見た時に、あーと思いました。あっこういう事かと。見た瞬間に安心しちゃって。普通のドラマ、今まで書いてきたドラマを書けばいいんだと。この咲坂先生のキャラクターが動くんだったら、リアルなドラマを普通に書いていけば、それだけで十分面白いんだという事が分かりました。気持ち的には、それですごく楽になりましたね。

ハルのストーリーの着想を得たきっかけ

木 皿
ラブストーリーは、要請がありました。みんなプロデューサーさんは、ラブストーリーにしてくれって言うんです。ちょっと安易だと思うんですけど( 笑 )。自分の中では、ラブストーリーは書けるのかな? と悩んでいました。
中 武
四十九日の話というテーマの着想はどういうところから得たのですか?
木 皿
企画の大本のアイデアは、『7×7(セブンバイセブン)』と言っていました。その話とラブストーリーが、どこでつながるのか? と思っていたけど、和田さんと話をしていくにつれて、あっ、この話でラブストーリーはいけるなと自分の中でも次第に和田さんに説得されていきまして。ついに、ラブストーリーを書くことになってしまいました。まだ書きたくなかったんですけど。56歳なので、そろそろラブストーリーを書いてもいいかなと( 笑 )。
池 田
『Q10』はラブストーリーに見えますけど?
木 皿
『Q10』も結局、ラブストーリーでって言われたんだけど、なんか最終的には世界平和みたいな話になってしまったので。普通恋愛で主人公が好きな人のロボットのスイッチを切るのはありえないと言われて。恋愛ドラマだというのは違うのかなと。みなさんが恋愛と思っている部分が、私は、ずれているのではないかという恐怖がありまして。いまいち、ラブストーリーは書きづらいです。
牧 原
自分も当初、少女漫画風にしないといけないんじゃないかという使命感がありました。出来上がってみると今回の映画は、少女漫画の範疇に含まれると自分では思うのですが、すごく愛の話です。
木 皿
すごく愛の話ですね。口に出して言うのは、恥ずかしいですが( 笑 )
池 田
『7×7』の時は、まだキューイチとかも無かったのですか?
木 皿
『Q10』を作っている時から、Q10のロボットの前のバージョンのロボットはQ01( キューイチ )、その前はQ00と決めていました。設定としては、Q10は三つ目ぐらいの世代のロボットと思っていました。キューイチはその前の世代のロボット。なので、Q10の方が良くできたロボットなんです。キューイチは、ちょっと古いタイプのロボットです。
和 田
この話はいい話だなと思いました。Q10の前のバージョンのロボットキューイチの物語というのは。
木 皿
このアイデアは、どこかで使おうと思っていた訳ではないんですが、ずっと考えていて。ロボットの話は発注が来ないと思っていたんですけど。和田さんが来た時も、まだロボットの話だと決まっていなかったですし。でも、ロボットの話は面白くて、またやりたいと思ってはいました。

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